AI検索の時代、
ホームページは何を変えるべきか
「検索順位は上がったのに、問い合わせが増えない」。 2026年に入ってから、この相談が明確に増えました。 原因は施策の失敗ではなく、検索そのものの仕組みが変わったことにあります。 何が起きていて、ホームページ側で何を備えるべきかを、出典付きで整理します。
この記事の要点
- Google検索の約3分の2は、どのサイトも開かれずに終わっています。AIが検索結果の上部で答えを出してしまうためです。
- これからは順位よりも、AIが答えるときに自社の名前と情報が出てくるかが問い合わせを左右します。
- そのために必要な作業の多くはサイトを作るときに仕込むのが最も安く、後からだとページの作り直しになります。
Google検索100回のうち、いずれかのサイトが開かれるのは約35回
2019年は約50%でしたが、2026年には約65%まで上昇しました。
AIによる回答が表示された検索では、開かれない割合はさらに高くなります。(出典は末尾)
なぜ、検索順位を上げても問い合わせが増えなくなったのか
検索した人が、検索結果の画面だけで用事を済ませてしまうようになったからです。
これまでの流れは「検索する → 一覧から選ぶ → サイトを開く」でした。 今は検索結果の一番上にAIが要約した答えが表示されるため、 その場で疑問が解決してしまい、どのサイトも開かれないまま終わります。 これをゼロクリックと呼びます。
つまり、10位を3位に上げても、そもそも誰もクリックしない検索であれば 流入はほとんど変わりません。順位という指標が、以前ほど売上と連動しなくなりました。
AI検索で選ばれるサイトは、何が違うのか
「この情報は、どこの誰が、いつ言ったことなのか」が、機械にも分かる形で書いてあります。
AIは大量の情報から「引用しても大丈夫そうなもの」を選んで回答を作ります。 このとき判断材料になるのが、情報の出どころがはっきりしているかどうかです。
人間が読めば「このページは〇〇店の営業時間だな」と分かります。 しかしAIにとっては、ただの文字の並びです。 ここで「これは店名」「これは営業時間」「これは書いた人」と印をつけておくと、 AIは推測ではなく事実として扱えるようになります。この印のことを構造化データと呼びます。
「構造化データ」とは、結局なんですか
ページの裏側に書き添える、機械向けの説明書きです。見た目は一切変わりません。
たとえば店舗のサイトなら、店名・住所・電話番号・営業時間・定休日を、 決められた書式でページの裏側に書いておきます。 訪問者の目には映りませんが、AIや検索エンジンはこれを読んで、 「この会社は確実にこの情報を持っている」と判断できるようになります。
GoogleとMicrosoftは、生成AIの機能でこの構造化データを利用していることを公表しています。 効果の程度はサイトによりますが、やっておく理由がある施策だと考えてよい状況です。
よく使うもの
- 会社・組織の情報:社名、所在地、連絡先、公式SNS。すべてのサイトで入れます
- 店舗の情報:営業時間、定休日、地図、価格帯。実店舗があるなら最優先です
- よくある質問:質問と回答の組。AIに引用されやすい形のため効果が出やすい部分です
- 記事の情報:書いた人、公開日、更新日。情報の新しさと責任の所在を示します
文章の書き方は、どう変わりますか
結論を先に書き、事実は表にする。この2つが効きます。
AIは長い文章から「答えになる部分」を抜き出して回答を作ります。 つまり抜き出しやすく書いてあるページが有利です。 前置きが長い文章は、どこが答えなのか判断されにくくなります。
- 見出しの直後に答えを書く。理由や背景はその後に回します
- 見出しを質問の形にする。「料金について」より「料金はいくらですか」。お客様が実際に口にする言葉に近づけます
- よくある質問を用意する。一問一答は、そのまま引用しやすい形をしています
- 料金・メニュー・営業時間は表にする。文章に埋め込むと正確に読み取られません
- 「当店」ばかりにせず、要所で正式名称を書く。そうしないと、どこの話か紐づけられません
最も効くのは、自社にしかない情報です
一般的な解説記事は、AIが自力で書けてしまいます。わざわざ引用する理由がありません。 一方で、実際の施工事例、お客様とのやりとりで分かったこと、自社で取った数字は AIが持っていない情報です。ここが引用される理由になります。
記事の本数を増やすより、自社でしか出せない情報を1本ずつ形にするほうが、 2026年の環境では効きます。
効果は、どうやって測るのですか
見る指標を、順位から「AIに出た回数」と「指名検索の数」に組み替えます。
| これまで | これから見る指標 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 検索順位 | AIの回答に表示された回数 | Search Consoleの生成AIレポート |
| 検索からの流入数 | AI経由の流入数(ChatGPT等) | アクセス解析の参照元 |
| クリック率 | 実際にAIに聞いて出てくるか | 手作業で月1回確認 |
| — | 社名・店名で検索された回数 | Search Console |
Googleは2026年6月から、AIの回答にサイトが表示された回数を確認できるレポートの提供を始めました。 現時点では表示回数のみで、クリック数までは分かりません。 また、遡って過去のデータを見ることはできないため、早く設定しておくほど比較材料が増えます。
逆に、やらなくていいことはありますか
あります。「AI対策」として売られているもののうち、効果が確認できていないものがあります。
新しい分野なので、根拠のはっきりしない提案も出回っています。 現時点で優先度が低いと考えているものを、正直に挙げておきます。
- llms.txt の設置:AI向けの案内ファイルをサイトに置く施策ですが、 Googleは「使っていない」と明言しています。 他の主要なAI提供元も、参照していると公式には述べていません。 約30万件のサイトを調べた調査でも、設置の有無と引用されやすさに関係は見られませんでした。 置くこと自体に害はありませんが、費用をかける段階ではありません。
- AIで書いた記事の大量投入:AIが自力で作れる内容を増やしても、引用される理由になりません。
- 「AI検索1位を保証」といった提案:AIの回答は同じ質問でも毎回変わります。 順位という概念が安定しないため、保証は原理的にできません。
- 被リンクの購入:従来どおり規約違反です。AIの時代になっても変わりません。
何から手をつければいいですか
まず設定の不備をなくす。次に機械が読める形にする。文章の作り直しはその後です。
| 順番 | やること | 効果が出るまで |
|---|---|---|
| 1 | 設定の不備をなくす(検索避け設定の消し忘れ、計測の未設定など) | 数日 |
| 2 | 測る環境を整える(Search Console・アクセス解析) | すぐ |
| 3 | 機械が読める形にする(構造化データ) | 数週間 |
| 4 | 主要ページを引用されやすい形に書き換える | 1〜3か月 |
| 5 | 自社にしかない情報を蓄積する | 3〜6か月 |
よくいただくご質問
- これまでのSEO対策は、もう意味がないのですか?
- 意味はあります。やめる必要はありません。AIは検索の情報をもとに回答を作っているため、検索で見つからないサイトはAIにも引用されません。これまでのSEOは土台として引き続き必要で、その上に「AIが読み取りやすい形にする」作業が加わったと考えてください。
- 今あるホームページでも対応できますか?
- できます。ただし作りによって手間が変わります。ページの内容を機械が読める形で書き添える作業は、多くの場合は既存サイトにも追加できます。一方で、文章の構成そのものを変える必要がある場合は、ページの書き直しになります。まず現状を確認させてください。
- 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
- 内容によって幅があります。設定の不備をなくす作業は数日で反映されます。機械が読める形を整える作業はおおむね数週間、文章の作り直しは1〜3か月、自社独自の情報を蓄積していく取り組みは3〜6か月が目安です。
- AI検索で1位にしてもらうことはできますか?
- できません。AIの回答は同じ質問をしても毎回変わるため、そもそも順位という概念が安定しません。「AI検索1位を保証します」という提案があれば、根拠を確認することをおすすめします。できるのは、引用されやすい状態を作って可能性を上げることです。
- 費用はどのくらいかかりますか?
- サイトの規模と現在の状態によって変わります。新しく制作する場合は、最初から組み込んでしまうのが最も費用を抑えられます。既存サイトへの追加は、ページ数と現在の作りを確認したうえでお見積りします。
- 自分たちでできる部分はありますか?
- あります。最も効果が大きく、外注できないのが「自社にしかない情報を出すこと」です。実際の施工事例、お客様とのやりとりで分かったこと、自社で取った数字。これらはAIが作れないため、そのまま強みになります。技術的な部分は制作側で引き受けます。
ホームページのご相談を承っています
この記事に書いた内容は、paimenが制作するサイトで実際に組み込んでいる考え方です。 このページ自体も、ここで説明した形式で作っています。
新規制作でも、既存サイトの見直しでも構いません。 現状を確認したうえで、必要な作業と費用をお伝えします。 「何が抜けているか知りたい」だけのご相談でも歓迎します。
出典
記載した数値は以下によります。調査主体や集計方法によって数値に幅があります。 検索の仕様は数か月単位で変わるため、内容は2026年8月14日時点のものです。
- ゼロクリック率について — SparkToro「In 2026, Less than One Third of Google Searches Still Send a Click」sparktoro.com
- Google検索の生成AI設定について — Google Search Console ヘルプ「検索の生成 AI 設定」support.google.com
- Search Console 生成AIパフォーマンスレポート — 2026年6月提供開始。対象データは2026年5月18日以降
- 構造化データの生成AI機能での利用 — Google および Microsoft による公表(2025年3月)
- llms.txt について — Googleによる不使用の表明、および約30万ドメインを対象とした引用相関の調査